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ケース1

小冊子できました。「うつ病  生活どうする この制度を活用しよう 」2013年版は56頁。80円切手5枚同封の上 
〒530−0044大阪市北区東天満1丁目10番12号新日本天満ビル401号働く者のメンタルヘルス相談室までお送り下さい。

心身不調で、仕事も出来なくなり、退職するが、退職後も傷病手当は受給したい場合。

@     働けない状態での無理な出勤は、病気を深刻化、慢性化させます。すぐに精神科を受診し医師の判断を仰ぎます。まとまった休息が必要となれば、1ヶ月以上の休職の診断書を受け取り、休職届とともに会社に提出します。

A     1ヶ月立っても良い方向に向かわないなら、再び1ヶ月以上の診断書と健康保険傷病手当請求書(社会保険事務所にある)を会社に提出し(郵送でも良い)会社の証明を記載して社会保険事務所に送ってもらいます。(請求書には自分で書く欄と医師の所見記載欄とと、会社の証明の3つの欄が1枚の裏表にあります)

B     長期化が避けられないという判断であれば、会社に残るメリットはほとんど無くなります。有利な退職条件を獲得し、離職票に退職理由を「会社都合」と書くよう要求します。(会社都合にするか自己都合にするかは、会社の裁量に任されています。休職期間満了に伴う退職は解雇と規定しているところもありますが、規定のない場合自己都合となるケースが多い。交渉次第では会社都合にしてくれる所もあります。)また健康保険の任意継続の手続きもしておきます。(任意継続するか国民健康保険にするか、どちらが得か市役所で計算してもらえば分かり易いのですが、多くの場合国民健康保険の方高いようです。4月以降は任意継続と傷病手当は関係が無くなるため、任意継続しても減額されることが無くなります。この項は社会保険事務所で確認しました。)〔注1〕

C     障 害者自立支援法に基づいて「自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書」の手続きを市町村役場でします。(用紙は、病院会計窓口か市町村障害福祉課にある)、同時に障害者手帳申請書(発病6ヶ月後から受け付け)も出しますが、特に要請しない限り手帳交付は2ヶ月ほどかかります。市町村障害福祉課の受付日以降、申請書の控えを会計窓口 に提出すれば健保の3割負担が1割になります。(控えを提出するので自分の保存用にコピーをしておきます。)これは「通院による精神医療を継続的に要する 程度の症状のある人」が対象になり、一疾病一医療機関が原則です。(入院は対象外)

D     傷病手当は一回目の請求を会社からすれば、その後退職しても健康保険を任意継続しておけば、二回目以降の請求時に会社の証明は不用です。退職しても18ヶ月 の範囲で傷病手当を受給できます。(この制度は廃止になります。平成19年3月末までの手続きで終了します。むろん3月末までに手続きすれば、18ヶ月以 内で支給されます。)注2 参照

E     離職後受給期間延長申請書をハローワークに離職票とともに提出します。こうしておけば、傷病手当受給終了後に、待機期間なしに雇用保険の給付を受けることが出来ます。

注1 「会社都合」と書くと新たに雇用した時の助成金を受けられません。そのため会社    が「会社都合」と書くことをいやがる場合があります。対策はケース3をご覧ください。

注2 任意継続保険者への傷病手当の打ち切りは4月1日からです。3月31日までに支   給要件を満たし、傷病手当が支給される状態に在ることが条件で す。つまり200   7年3月28日から休職し3月31日の時点で3日の休業がつづいている場合、4月1日以降も傷病手当は支給されます。
健康保険法104条に傷病手当金又は出産手当金の項があり、1年以上健康保険に加入している人は、退職時に傷病手当を受給していれば、引き続き継続して1年半の範囲で受給出来ます。(この追加は読者からの指摘によるものです。ご指摘頂きありがとうございます。)従来との相違は、従来は健康保険加入期間が1年未満であっても、任意継続すれば、傷病手当は受給できましたが、4月1日以降の退職者は、たとえ退職時に傷病手当を受給していても、健康保険加入期間が1年未満であれば、退職とともに受給がストップする事です。また受給額は従来のように減額されず標準報酬の6割が受給できるそうです。

ケース2 長期休職はするが、休職期間中は会社に残り、病気回復を見守りたい場合

@     長期休職で休みが越年しそうな場合、有給休暇の扱いが問題です。有給の持ち越しは2年なので、前年からの持ち越し分は越年で消えてしまいます。休職中なので 新年度の有給休暇はつきません。会社は診断書が出された時から休職扱いにするケースが多いと思います。診断書提出を遅らせるか、休職にはいる前に有給を使 い切るか、買い上げを約束させるか検討が必要です。

A     傷病手当の他に共済会などから残り4割を補填する制度のある場合、社会保険事務所から送られてくる「傷病手当金支給決定通知書」をコピーして会社に送り手続きをしてもらいます。

B     自立支援医療費支給の手続と障害者手帳の申請をします。(同じ窓口で)
  障害者手帳は従来ほとんど使い道がなかったのですが、雇用保険の受給の際、就職困難者として扱ってもらう為には役立ちます。又障害者雇用枠で再就職する場合に有効です。

C     自分の主治医は出来るだけ早く確定させます。ドクターショッピングは好ましくありません。クスリの相性や量が合わない時は、率直に訴えて解決します。ドクターとの長期の信頼関係があれば、毎月の傷病手当の証明のみならず、障害厚生年金の請求時の診断書作成の大きな威力を発揮します。年金の可否は診断書で決 まります。

D     休職期間内で復職が可能な場合、NTT東日本関東病院が実施する復職プログラムに参加し復職可能の判断を取っておけば、会社側が復職を拒否する場合に有効に 対抗できます。また実際に復職した場合スムーズに仕事に入っていけます。

E     団体交渉にさえ耐えられない状況であれば、無理な復職は避けなければなりません。また復職を目指す人は、食習慣、運動習慣、飲酒、喫煙などの習慣を改善し、万全の準備をしてください。
1ヶ月以上入院した場合でも、有給休暇を当てる会社がいます。有給休暇が無くなると無理矢理復職するか、退職を迫るのです。会社の就業規則をよく読みましょう。休職制度があればそれを活用してください。
休職期間が短い場合早めに交渉する必要があります。ぎりぎりに泣き込んでも会社は聞く耳を持ちません。その場合法律上の保護が無くなり、打つ手がありません。就業規則に特例を認める条項が在れば、その適用を要請します。
F 障害者手帳はなかなか役に立たないのですが、役に立つ所を見つけました。
 それは税金の確定申告です。年度の途中で休職に入った場合、確定申告が必要です。
 傷病手当は税金のかかる所得になりません。又共済会などの付加金も税金がかかりませ ん。そこで給与所得だけが確定申告の対象になり、多くの場合還付金が発生します。
 還付金を得る為には確定申告が必要です。その確定申告で精神障害者保健福祉手帳を  持っていると、障害者控除の対象になります。控除額は27万円です。またほとんど傷病手 当で1年を過ごした場合、給与所得控除後の金額が38万円以下であれば、配偶者や子供 や、他の6親等内の親族の扶養者になることが出来ます。(あくまで税法上だけですが)つ まり自分を他のヒトの扶養者として申請し、38万円の控除を受けることが出来ます。詳しく は税務署に問い合わせください。当相談室でも相談に応じます。そろそろ確定申告の季節 です。損の内容に対応ください。

働く者のメンタルヘルス相談室

ケース3    休職期間満了となり退職を余儀なくされた場合

@     会 社の休職期間が満期となり、かつ傷病手当の受給期間も終了した場合、生活をサポートする方法が二つあります。一つは少し制限を受けるが働ける状態の場合、 二は労働がまだ不可能の場合です。一の場合雇用保険の受給手続きをします。その時は障害者手帳の交付を受け、それを持参し,就職困難者としてのてつづきをします。1年以上10年未満の被保 険者期間の方であれば300日になります。自己都合でも会社都合でも給付日数は変わりません。(自己都合の場合は3ヶ月待機)二の場合障害厚生年金の手続きをします。同時に受給期間延長申請も出しておきます。

A     障害厚生年金は初診日から18ヶ月後に、初めて申請できます。初診日に厚生年金か国民年金に入っていれば対象となります。審査は書類審査で診断書が決定的な役割を果たします。国の指定した様式でA3の裏表です。診断書を依頼する前に次の参考書を読んでおいてください。

「障害年金と診断書」年友企画1800円+税ISBN4-8230-1012-4

「障害年金請求の仕方」中央法規2800+税 ISBN4-8058-2440-9

この二冊は必読です。参考書を読んで診断書の様式をコピーして、項目に従って書けるところを、埋めてください。それを参考資料としてドクターにお渡しください。

一,二級は日常生活のあり方で判断し三級は労働能力の有無で判断します。二級と三級では100万円近く年金が違います。詳細は「相談室」にお尋ねください。

診 断書を書く負荷が大きいのでドクターはなかなか書いてくれません。負荷を小さくする方法を考えましょう。年金の裁定は提出後3.5ヶ月後です。裁定後振り 込みまで2ヶ月かかります。あらかじめ金額はわかりません。報酬比例部分など複雑で出てくるまで金額は確定しません。あまり少額の場合3級の障害手当金 (最低120万円)を受けて、雇用保険へ移行も考えられます。 受給期間延長申請は出しておきます。 労災と障害厚生年金は併給できます。(支給額の調整 はあるが、絶対額は大きくなります。)労災が認められれば、障害厚生年金は無理なく認められると言います。
このところの年金改悪で、1級相当の診断書があれば2級に、2級相当の診断書があれば、3級に裁定するケースが多くなっています。
傷病手当の退職後打ち切りや、厚生年金の出し惜しみ、労災認定に狭さなど、労働者を巡る情勢は厳しくなってきました。
対策は、病が重くならないうちに、早期に行う以外ありません。
休職期間制限は会社の就業規則で決めています。法律上の保護はありません。短いところでは3ヶ月というのもあります。転職して5ヶ月で「うつ」になり3ヶ月の休職で解雇になったケースもあります。この場合健康保険は1年未満なので、社会保険事務所によっては、傷病手当さえ止められる可能性があります。(退職して健康保険を任意継続する為には加入期間が2ヶ月以上在ればいいのですが、傷病手当は1年以上の加入者となっています。法律通りであれば退職後の傷病手当は打ち切られます。また2007年4月1日以降は退職者の傷病手当は一切認められなくなりました(この項は誤りでした。任意継続に伴う傷病手当金は廃止されますが、健康保険法104条の継続給付の規定は残りましたので、1年以上健康保険に加入していて、在職中に傷病手当を受給していれば引き続き1年半の範囲で受給できます。読者からの指摘で訂正いたします。)

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